勝負服を知ろう

勝負服データベース

レースで騎手が着ている服を「勝負服」と言います。かなりカラフルな色合いですので、競馬場の緑の芝にはとても映えますよね。

中央競馬においては馬主ごとにこの勝負服の柄が登録されており、レースの実況でもアナウンサーはこの勝負服の柄と帽子の色でどの馬かを瞬時に見分けているんですね。

ある程度競馬観戦になれた方は、レース中は見えにくいゼッケン番号よりも勝負服の柄で馬を見分けているでしょう。

あまりメジャーでない勝負服の場合、レーシングプログラム等に記載されている文字ベースの服色表示を見てもピンとこない方も多いのではないでしょうか?

そこで、ここでは勝負服の基本ルールと服色表示について解説したいと思います。

色や柄は決められている

日本の中央競馬においては、勝負服に使える色や柄には制限があります。(以下、特に断りのない限り中央競馬についての解説です)

これらは「日本中央競馬会競馬施行規程」に定められています。(以下抜粋)

第34条 服色に使用する色は、本会の定める標準色による赤、桃、黄、緑、青、水、紫、薄紫、茶、えび茶、ねずみ、黒及び白の13色でなければ、服色に使用することができない。

第35条 次に掲げる標示でなければ、服色に使用することができない。
(1) 輪(胴又はそでに用いる横線) 幅最小限 6センチメートル
(2) 一文字(胴及びそでに用いる1本輪)同 6センチメートル
(3) 帯(胴の下部に用いる横線) 同 9センチメートル
(4) 山形(山形、ひし山形若しくはのこぎり歯形の輪又は帯) 同 6センチメートル
(5) たすき 同 9センチメートル
(6) 縦じま 同 4センチメートル
(7) 格子じま 同 4センチメートル
(8) 元ろく 同 6センチメートル
(9) ダイヤモンド 短径最小限 6センチメートル
(10) うろこ 高さ最小限 7センチメートル
(11) 井げたかすり 短径最小限 9センチメートル
(12) 玉あられ 直径最小限 4.5センチメートル
(13) 星散らし 同 9センチメートル
(14) 蛇の目又は銭形散らし 同 9センチメートル

第36条 胴若しくはそでの地色又は前条各号の標示には、2色以上を使用してはならない。

<管理人補足>

  • 例外的に7枠の貸服では橙が使われます。
  • 襷(たすき)には十字襷というのもあります。
  • 輪や山形は1本から3本まであります。ここには本数の規定がないようですが、4本以上は聞いたことがありません。

具体的にはどんな柄?

今度はこれらの柄を具体的に絵で見てみましょう。

一本輪 二本輪 三本輪 一文字 山形一本輪 山形二本輪
山形三本輪 山形一文字 山形帯 菱山形 鋸歯形
十字襷 縦縞 格子 元禄 ダイヤモンド
うろこ 井桁絣 玉霰 星散 蛇目散 銭形散

通常、星散や井桁絣は前後に5個ずつ、玉霰や蛇目散、銭形散は前後に6個ずつあるのが標準的です。星散は最近、脇腹にも入っていることがあるようです。

元禄、ダイヤモンド、うろこなどはどちらが地色でどちらが柄色かわかりにくいですが、基本的に襟の色が地色と考えて良さそうです。

服色表示の読み方は?

実際に、競馬場で配布されているレーシングプログラム(レープロ)などを見てみましょう。

「黄,黒縦縞,袖青一本輪」とか「青,赤袖,白三本輪」などと記載されているのが服色です。これらの文字列を見てもなかなか実際の勝負服の柄がイメージできないという方もいらっしゃると思いますが、

実はすごく簡単なんです!

まず、服色表示は「,(カンマ)」で区切って1~3つのかたまりに分けることができます。上の例で言えば「黄」+「黒縦縞」+「袖青一本輪」、あるいは「青」+「赤袖」+「白三本輪」というふうに3つに分けることができますね。

このほかにも「桃,紫山形一文字」や「赤,緑袖赤一本輪」のように2つだったり、「黄」1つだけというパターンもあります。ただし4つ以上のかたまりになることはありません。

ここでちょっと、今挙げた例について比較してみてください。いろんなパターンがあるにも関わらずひとつだけ共通していることがあります。
なんだかわかりますか?

それは「一番最初のかたまりは必ず色だけである」ということです。これがその勝負服のベースになる地色なのです。

ここまではなんとなくわかると思いますが、問題はこれからです。2番めのかたまりを見てみると、「黒縦縞」「赤袖」「紫山形一文字」「緑袖赤一本輪」・・・
レープロを見ていただくと、とにかくいろんなパターンがあるはずです。さらに3番めのかたまりがあったりなかったり・・・

実はこれ「順番に上から塗り重ねていく」ようにイメージすると勝負服の柄ができあがるんです。

では、上記の例について実際にやってみましょう。

服色を塗り重ねてみよう

ではまず「黄,黒縦縞,袖青一本輪」からやってみましょう。

一番最初のかたまりが「黄」なので、この勝負服の地色は袖も含めて黄色です。服色表示が「黄」だけならこれで完成です。

2番めのかたまりが「黒縦縞」なので、黄色の服地の上に黒の縦縞を塗り重ねます。この時点では3番めがあるかどうかわからないと想定し、いったん袖にも黒で縦縞を入れることにします。

問題は3番めのかたまり「袖青一本輪」です。「袖」の前に色名が入っていないことに注意してください。これは「袖の色は地色のままで、袖に青の一本輪を入れる」という意味なのです。

この時点で先ほどの黒縦縞のうち、袖の黒縦縞はキャンセルされたと考えてください。胴にも袖にも2種類以上の柄は使えないのですから。これを塗り重ねるとこうなります。おなじみ社台レースホースの勝負服の出来上がり。

では、同じ要領で「青,赤袖,白三本輪」をやってみましょう。

まず「青」ですので地色は青です。これはわかりますね。

次は「赤袖」となっています。このように「袖」の前に色名、例えば「赤」が入っている場合は「袖の色を赤にする」という意味です。

そして最後に「白三本輪」というのが来ています。これは「胴にも袖にも白の三本輪を入れる」という意味です。このように胴と袖に同じ色で同じ柄を入れる場合はまとめて記載されるのです。友駿ホースクラブの勝負服です。

もし袖だけに白三本輪を入れるのであれば「赤袖」と「白三本輪」を分けずに「青,赤袖白三本輪」となります。逆に、胴だけに白三本輪を入れるのであれば「青,白三本輪,赤袖」となります。これらも順に塗り重ねてみてください。

「青,赤袖白三本輪」


「青,白三本輪,赤袖」

このパターンで考えれば「桃,紫山形一文字」や「赤,緑袖赤一本輪」も簡単にイメージできるようになりますね。
また、実際の勝負服を見ながら逆に服色を言ってみるのもいいかもしれません。

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