天皇賞(秋)の思い出【メジロマックイーン・サイレンススズカ】

天皇賞(秋)の思い出、ということでこれまでのパターンから言えば「勝ち馬」の思い出を書くべきなんでしょうが、私が今よりもずっと競馬に入れ込んでいた時期の出来事として、1991年のレースと1998年のレースは忘れることができません。

1991年

前年の菊花賞馬であり、阪神大賞典、天皇賞(春)と断然人気で完勝し、宝塚記念ではメジロライアン悲願のG1制覇に惜しくも2着と敗れたものの、前哨戦となる京都大賞典も圧勝したメジロマックイーン。
ステイヤーのメジロマックイーンにとって距離がやや短めとはいえ、相手関係を見ても正直ホワイトストーンあたりしか相手になりそうな馬も見当たらず、当然に抜けた1番人気。
東京の芝2000mのレースがスタートしてから最初のコーナー(第2コーナー)までが短くまた外枠不利なのは皆さんよくご存知と思いますが、東京競馬場がコース改修される前、つまり当時の同コースはさらにコーナーがきつかったので外枠の馬で前に行きたければスタートを決めて早めに内側に切れ込んでいくしかありません。

13番枠のメジロマックイーンはスタート決め、なんとか先頭グループをキープします。ただこの内側にいた馬の数頭の進路が狭くなりズルズルっと下がっていきます。一番不利を受けた馬は一気に最後方まで下がってしまいました。
当時テレビで先頭集団、というかメジロマックイーンしか見ていなかった私はこの状況には全く気づいていませんでした。
向こう正面あたりですでに審議の青ランプが灯っているとの実況を聞いて初めて「あー、なんかあったんだな」程度に思ったくらいです。

レースは予想どおり後続に6馬身の差をつけてメジロマックイーン圧勝・・・のはずでした。

ところがところが、最初のコーナーでの出来事の審議対象馬はこのメジロマックイーン。慎重な審議の結果、出された結論は「1位入線⇒18着に降着」でした。
当時の降着ルールは今と違って「加害馬の順位を被害馬の後ろの順位に置き換えて確定」というものでしたので、被害馬のうちもっとも順位の低かったプレジデントシチー(18位入線)の後ろ、つまり最下位となったわけです。
今のルール「その走行妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していたと裁決委員が判断した場合、加害馬は被害馬の後ろに降着」だったとしたらどういう結果になったのか、ちょっと興味がありますね。プレジデントシチーは単勝300倍超でしたし。レース前半の事象では絶対判断できないですよね。

後味の悪いレースではありましたが、すべての人馬とも無事だったのは不幸中の幸いです。
ちなみに勝ち馬はプレクラスニー。鞍上は今も現役で活躍中の江田照男騎手でした。

1998年

サイレンススズカ。若い競馬ファンにとってはもはや「伝説の馬」かと思います。
その圧倒的なスピードでバレンタインS、中山記念、小倉大賞典、金鯱賞、宝塚記念、毎日王冠と重賞5連勝を含む6連勝中のサイレンススズカは天皇賞でも圧倒的な1番人気の支持を集めました。

競馬初心者が長く楽しむためにでも少し触れているのですが、かなり疑い深い私が長い競馬歴の中で「このレースだけは天地がひっくり返ってもこの馬が勝つ。故障でもしない限り。」と本当に自信を持って言えたのは、ナリタブライアンのダービーとこのサイレンススズカの天皇賞(秋)だけです。

サイレンススズカの逃げはハイペースで、最初の1000mを58秒切るか切らないかのレースが続きます。一般的な馬なら暴走気味と言われかねないペースですが、不思議と走る姿を見ているとまったくそう見えないのです。
スタートしてからのスピード感は、テレビ画面で見ていても馬の脚の運びやテンポ、騎手の動きでなんとなく「速そう」「スロー気味」というのが感じ取れるのですが、サイレンススズカだけは違いました。
先頭でただ1頭、普通のペース、下手したらスローペースで逃げているように見えるのです。
周りの馬は一生懸命、サイレンススズカは鼻歌を歌いながら、の感じなのです。

天皇賞(秋)の1000m通過タイムは57秒4。一般的には完全にオーバーペース。でもサイレンススズカには余裕が見えました。鼻歌が聞こえてきそうでした。後ろの馬もまったく視界の外です。

残り800mを切り、こりゃあ恐ろしいタイムで勝ちそうだな、と思ったその時でした。
突然ガクッとスピードが落ちたサイレンススズカをカメラが捉えたのです。
あっ、これはヤバいやつだ。

「このレースだけは天地がひっくり返ってもこの馬が勝つ。故障でもしない限り。」の自分の思いがまさかの出来事を呼び寄せてしまったのか?

もうレースの実況は耳に入ってきません。
あー、これはヤバい。サイレンススズカがヤバい・・・

左手根骨粉砕骨折。予後不良、安楽死の処置が取られました。

トウカイテイオー以外には特別な思い入れのある馬はいない私ですが、サイレンススズカは好きな馬の1頭でした。
もしあの日の4コーナーを無事に回ってきていたら・・・

ちなみに勝ち馬はオフサイドトラップ。鞍上はこちらも現役最年長で活躍中の柴田善臣騎手でした。

さいごに

最後の締めにこんなことを書くのもどうかと思うのですが、特に長くリアル競馬をやってきたけどウマ娘プリティーダービーをまだプレイしたことがない方に伝えたい。
ぜひ、ウマ娘のサイレンススズカに天皇賞(秋)を勝たせてやってください!
4コーナーの向こう側を見せてやってください!

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